福島市内からほど近い大自然の湯、高湯温泉

福島市内からほど近い大自然の湯、高湯温泉

福島市内からほど近い大自然の湯、高湯温泉

「高湯(たかゆ)温泉」は福島市の西部、吾妻山(あずまやま)の中腹に位置する標高750mの温泉です。この高湯温泉を中心に栄える温泉街は400年以上の歴史を有し、その強い薬効を秘めた高濃度の硫黄泉は古くから湯治場として人々に親しまれてきました。標高こそやや高い場所に位置しますが、周囲に多くの観光名所があり、それらの名所へアクセスする際に利用する経路の交点にあるため、この高湯温泉街はかねてより周辺観光の拠点となっています。高湯温泉街には10軒の温泉宿があり、「奥宇三高湯」の一つに数えられる名湯です。

「高湯温泉」の湯治場としての効能は幅広く、しもやけややけど、にきび、婦人病、アトピー症皮膚炎などに高い効果が見込まれるとされています。しかしながら、それらの恩恵を十分に身体に授かるには一度きり、一日きりの入浴では不十分である、ということを伝える、古くから高湯温泉の地で言われてきた俚諺(りげん)があります。「三日一廻り、三廻り十日」というこの言葉の意味は、ひとまわりで湯を体に馴染ませ、ふたまわりで身体の悪い部分が洗い流され、三まわりで全身の調子が改善されるという意味です。高湯温泉の効能を最大限に引き出したければ、最低でも十日この地に滞在し、ゆっくりと湯に浸かりなさいと語っています。観光旅行はえてしてあわただしい日程で終わりがちですが、高湯温泉を訪れる際にはできる限り余裕のあるスケジュールで、身も心も休めてほしい。――そんな思いから、この「三日一廻り、三廻り十日」という言葉は高湯温泉の地で多く見られ、強くアピールされています。

福島市内から電車で30分。あっというまの飯坂温泉

「飯坂温泉(いいざかおんせん)」は日本全土でも有数なほどの古湯であり、その歴史は2世紀頃までさかのぼります。極めて規模の大きな温泉街で、ひしめき合うように林立する老舗旅館が形成する街並みには歴史の重みを感じずにはいられません。「福島の奥座敷」と呼ばれていたのはおそらく幕末から明治、全国的に温泉が流行した時代であると思われますが、今でもその威厳はまったく衰えを見せません。旅館の多くは摺上川(すりかみがわ)の岸辺に立ち並んでいるため、客室や露天風呂からは摺上川のせせらぎを感じられるでしょう。かつては「鯖湖(さばこ)の湯」と呼ばれ、湧いても湧いてもやむことのない豊富な源泉は、最も初期の時代、地元民に、まるで神々を信仰するように重宝されてきたようです。その名残としてか、この飯坂温泉には数々の伝承が付随しており、また日本神話にも登場しています。歴史上の人物では「松尾芭蕉」や「正岡子規」、「与謝野晶子」らといった俳人たちが好んで訪れた記録が残っています。

「奥州三名湯」に数えられる「飯坂温泉」の楽しみは温泉だけではありません。温泉街として全国に名を知らしめるためには温泉の泉質だけでは不十分なのです。全国的に有名な温泉街には相応の、その土地独特の付加価値が備わっています。飯坂温泉でいえば、それは地元産の新鮮でとびきりおいしい果物が中いっぱい味わえるということでしょう。飯島温泉を訪れる人は、たいてい近隣で体験できる果物狩りなどとセットで観光を楽しんでいます。

十種の泉質を一度に楽しめる土湯温泉

「土湯温泉(つちゆおんせん)」は福島市内の活火山、安達太良山(あだたらやま)の中腹にある温泉です。こけし発祥の地としてもひそかに有名であり、街並みのそこかしこに見られるこけしの姿は少し異様に感じるかもしれません。周囲には多数の観光スポットがあり、古くから観光拠点として機能する大規模な、そして歴史の長い温泉街です。

「土湯こけし」といえば福島市のマスコットキャラクターと言って良いほど、市内では知らぬ人のない工芸品です。「こけし」という玩具、あるいは工芸品そのものが、現代社会では実用的でなく、インテリアとしてもあまり見られることの少なくなってきているものです。世代が新しくなるごとにこけしを見たことすらないという人が増えているように思われる昨今、土湯温泉では珍しい光景に出会えることを期待していいでしょう。

土湯温泉の名前が記録に残る中で最も古い時期は1189年ですが、その開湯はさらにさかのぼり、80年頃と考えられます。泉質が豊富なことで知られる土湯温泉の最も人々に多く利用される湯はスタンダードな単純温泉で、神経痛や筋肉痛、疲労回復に効果があります。肌に優しい温泉であるため湯ただれの心配もなく、単純温泉は一番馴染みやすい泉質といえます。土湯温泉を最高の入浴体験として思い出に残したいのなら、老舗温泉旅館「向瀧」がおすすめです。どちらかといえば高級旅館の部類に入るでしょうか。老舗とはいえ内装は常に美しくリニューアルされており、「歴史ある温泉宿」という名目の、ただ古くさびれた宿でひどい経験をしたという方でも「向瀧」ならばまず心配はいりません。浴場は岩やヒノキで美しく、そして何より広く高級感があり、宿全体の内装もまた清潔感を重視した美しいものです。料理も申し分ありません。

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