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佐賀のグルメレポート
沿岸地域を食べ歩く。まずは「呼子いか」から
佐賀県北西部に位置する唐津市呼子では、その地名を名に冠した「呼子(よぶこ)いか」が有名です。しかし「呼子いか」という名前のいかがいるわけではなく、これはこの地方で獲れるいか全般の通称であり、それだけ、この地のいかの質が高いことがうかがえます。呼子で獲れるいかはケンサキイカ、ヤリイカ、コウイカ、それからアオリイカと、種類に富んでいます。そのどれもが地元の料亭で気軽に食べられるので、訪れた際には全種類制覇してみたいものですね。我々が普段目にするいかの活け造りも、もとを辿ればここ呼子に始まったとされています。呼子の良質で透き通ったいかのお造りは、食卓にあるだけで宝石のように輝き、場を華やがせます。
いかの旬は5月~8月とされていて、この時期のケンサキイカは特に甘味が強く、歯ごたえもしっかりとしていて食べ応えがあります。刺身はもちろんのこと、煮るなどしてもそう簡単に食感が損なわれることはありません。またいかはその白く透き通った外観のイメージに反して栄養価が高く、美容効果も期待できるとされています。この地域の観光が女性に人気であることには、そういった背景も含まれているようです。
海の幸といえば佐賀県は牡蠣でも全国的に有名です。太良町の有明海沿いは牡蠣海道と呼ばれるほど多くの牡蠣焼き店が軒を連ねていて、旬の頃には街一体に牡蠣の焼ける香ばしい香りが漂うほどの賑わいを見せます。夜遅くまで明かりが灯り、牡蠣料理を肴に酒盛りをする人々の輪に混ざって、一日の旅の疲れを忘れてしまいましょう。近くには宿も多くありますので、そのまま歩いて帰り、布団に飛び込んでしまえる点も、観光客に人気のスポットである理由です。
陸の幸なら「佐賀牛」をメインに据えて!
全国にブランド和牛は数あれど、中でも最高級を誇る「佐賀牛」は、一度は地元で味わってみたい絶品和牛です。佐賀の広大な草原でストレスを受けずのびのびと育てられた黒毛和牛の「佐賀牛」はただでさえほかの牛とは一線を画する存在ですが、流通に至るまでには厳しい審査を受け、合格基準を満たした一部の牛だけが「佐賀牛」を名乗ることができます。佐賀牛を味わいたいという方には伊万里の方面がおすすめです。ここ伊万里の管轄で生産された佐賀牛は「伊万里牛(いまりぎゅう)」として有名で、肉質のきめ細かさや独特の舌にじんわりと溶けるような甘みを特徴としています。
全国の多くの食通を魅了してやまない伊万里牛は日本各地に出荷されていますが、やはり鮮度が命の肉は地元で味わうものに勝りえません。伊万里の町ではそんな新鮮な伊万里牛を贅沢に味わえるレストランが多く出店しています。もちろん、値段は決して安くありません。高級品である黒毛和牛の中でも最高品質である伊万里牛にはしかし、それだけの価値があります。出稼ぎでしばらく頑張れば、きっとまとまったお金が手に入るでしょう。この味を経験しない手はありません。
近年では「伊万里牛のハンバーグ」というものが注目を集めています。高級な肉はステーキで食べるのが当たり前と思っていませんか? もちろんそれは一般的な認識ですが、どうやらそんな人々にとっての新しい発見が、伊万里のハンバーグによってもたらされつつあります。従来のハンバーグとは別次元の、凄まじく濃厚で肉の甘み際立つ「伊万里のハンバーグ」もまた、この土地の絶品グルメとして記憶にとどめてくださいませ。
珍味!むつごろうのかば焼き!
「むつごろう」という生物がどんな姿をしていて、いったいどのようなものなのかを知っている人は少ないはずです。それもそのはずで、「むつごろう」は日本では有明海と八代海にしか生息していない、非常に希少な生物です。魚であると誤解されることがありますが、「むつごろう」は正確には両生類で、そういう意味では魚よりもカエルなどに近い生き物かもしれません。ひれを手足のように扱ってぴょこぴょこと干潟を飛び跳ねる姿もどこかカエルを思わせるところがないこともありません。その様子は愛らしく、生きたむつごろうそのものが有明海の観光的な人気者でもあります。むつごろうはその変わった外見からは想像できないほど味が優れていることでも知られます。身は柔らかく、脂肪が多いためとろけるような舌触りで味わうことができます。一般にかば焼きにされることが多く、街の料亭でも主にそうしてふるまわれます。
むつごろうは死んでしまうと急激に味が落ちるとされており、生きたまま口から串を差し込み、たれをまぶしながら丁寧に焼き上げます。出来上がりはほとんどまっ黒で、初めて「むつごろう」のかば焼きを見た人は躊躇してしまうかもしれません。しかしその見た目に目をつぶって頭からかじりついてみることをおすすめします。味はウナギを連想するほどまろやかで甘く、ウナギを上回ると評する人も少なくありません。むつごろうの旬は主に夏とされています。泥の中に巣を作ってその中に潜んでいるむつごろうが、求愛行動のため地上に出てくるのがその時期なのです。むつごろう漁もその時期に行われます。
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