箱根で満喫する温泉旅行（神奈川県） | 風俗のお仕事コラム

通称「箱根」と呼ばれて今や知らぬ人のない温泉街「箱根町（はこねまち）」は、神奈川県の西端、箱根山（はこねやま）に囲まれた緑豊かな地方にあります。箱根山は今なお火山活動を続ける巨大な活火山体で、その一帯には多くの温泉が湧きだしています。火山活動によるカルデラ湖「芦ノ湖」を中心として広がる源泉の数々は、古く奈良時代より温泉街を形成するようになし、今に至るまで多くの人に親しまれてきました。当時からこの地の街道など交通面の整備は優先され、鉄道さえなかった時代でも、人々や物資が盛んに行き交っていたことがうかがえます。特に「温泉」というものが広く知れ渡りブームとなった江戸時代においては全国の名湯が「番付（ばんづけ）」に記録されるようになりますが、その中には箱根温泉すべての源泉が掲載されていたほどでした。

「箱根温泉」という一般的に呼びならわされますが、「箱根温泉」という名前の温泉が存在するわけではありません。全国各地の温泉地に言えることですが、多くの場合「○○温泉」というのはその土地に湧く複数の源泉とそれらを中心に栄えた温泉街全体を指す言葉です。「箱根温泉」も例外ではなく、厳密には「箱根温泉」と呼ばれる温泉街一帯に、数種類の温泉が湧き出ているという具合です。長らく「箱根七湯」という異名を持つほど箱根の温泉は種類が豊富なだけでなく個性に富み、湯治場としても浸かる人を選ばないことで有名でした。温泉というと火山帯に湧くものが通常であるため、どうしても山奥、人里離れた場所まで足を運ぶ必要が生じてきます。しかし箱根温泉は都心部から比較的近く、その立地条件もまた、長く人々に愛される要因となったのでしょう。

箱根温泉は奈良時代に端を発し、およそ1200年の歴史を有する温泉街です。その辿ってきた歴史を見ていくとともに、箱根温泉が人々にもたらしてきた恩恵がどのようなものだったのかを探っていきましょう。

箱根という地名の由来には諸説あります。たとえば「ハコ」とは古い言葉で「神の住まう山」という意味であるとか、また火山活動により大規模なカルデラが形成され、山の外縁が沈降していることから、容れ物、箱のようだとされた説などです。温泉がこの地で発見されたのは少なくとも1200年前ですが、関所が設けられ盛んに人が行き交うようになったのは1600年代に入ってからでした。すなわち江戸時代初頭になります。

江戸時代初頭からすでに優れた湯治場として名を馳せてきた箱根温泉は、好んで訪れた歴史上の著名人も多く、「福沢諭吉（ふくざわゆきち）」もその一人でした。しかし湯治場を好んで利用するということは、何かしら持病を抱えているということです。福沢諭吉も体が弱く、長く険しい山道を歩くのは大変なことでした。そのあまりの交通の不便さに見かねた彼が箱根の交通整備に協力したことが、古い記録に残っています。ほかにも様々な著名人が箱根の地の利便性向上に尽力しており、その並々ならぬ愛情の注がれ方を感じ取ることができます。今では年間延べ2000万人が訪れる日本最大の温泉宿となった箱根温泉は、数百年という単位で多くの人々がかかわり、その開通に努めて作り上げられた財産なのです。

箱根温泉は開通当初より「箱根七湯」として源泉豊富な温泉街の一般認識を築き上げてきましたが、今ではそれがさらに増え、20湯にも及ぶ豊富な源泉数を誇っています。それらの温泉を売りにした温泉宿もますます栄え、そして芦ノ湖に代表されるように景観も非常に優れています。日本屈指の温泉街の称号を確固たるものとした箱根温泉の魅力に迫っていきましょう。

箱根温泉は箱根山一帯に広く分布しており、高低差も激しくロープウェイなどを使って移動する必要も生じてきます。そのためいくつかのエリアに分けて考えることをおすすめします。エリアごとに温泉の傾向も変わってくるためです。

箱根にたどり着いて一番最初に見る景色こそ「箱根湯本（はこねゆもと）」の景色です。箱根の玄関口であるこの箱根湯本は箱根の中で最も古い温泉地であり、宿や土産物店が多く立ち並ぶ賑やかな場所です。「箱根湯本」には塩分濃度の高いぬめりのある泉質が特徴の温泉が多く湧いています。これは温泉の中ではもっともメジャーな泉質で、単純温泉とも呼ばれるものです。効能も幅広く、筋肉痛や冷え性、疲労回復などに効果があります。一般に美肌効果で有名になるような温泉も、この塩分系の温泉になります。

箱根湯本から登山鉄道でさらに進むと、そこは「宮ノ下」エリアです。外国人観光客に人気があり、リゾート地の性格が強く、大正の趣を感じさせるレトロな建物が多くみられるようになります。本当に静かながら美しい地域で、有形文化財にも登録されている富士屋ホテルなど、日本独特のレトロを感じたい人にとってはたまらない建物ばかりです。